7. 逆ラプラス変換
逆ラプラス変換の定義式は以下となる。
定義式:$$f(t)=\frac{1}{2\pi j}\int_{c-j\infty}^{c+j\infty} F(s)e^{st}ds$$ \(s\)は複素数:\(\sigma + j\omega\)
\(s\)領域の関数 \(F(s)\) を時間領域の関数 \(f(t)\) に変換(写像)する。
逆ラプラス変換は定義式のように複素積分で表せるが、計算は簡単ではない。しかし、実際に複素積分をすることはあまりない。
実用的には、ラプラス変換した関数の基となる時間関数が分かる形であれば逆変換できるからである。
\(F_1(s)=\mathcal{L}\left\{f_1(t)\right\}\) , \(F_2(s)=\mathcal{L}\left\{f_2(t)\right\}\) とすると
$$\mathcal{L}^{-1}\left\{aF_1(s) + bF_2(s)\right\}$$ $$=a\mathcal{L}^{-1}\left\{F_1(s)\right\} + b\mathcal{L}^{-1}\left\{F_2(s)\right\}$$ $$=af_1(t) + bf_2(t)$$
逆ラプラス変換も線形性が成り立つので、ラプラス変換された関数が、複数の逆ラプラス変換が分かっている関数に分解できれば、ラプラス変換した関数を容易に逆ラプラス変換できることになる。
制御工学で扱うラプラス変換された関数 F(s)は、ほぼsの有理関数であり、sの有理関数は部分分数展開できる。そして、各々の部分分数はラプラス変換対表を使って逆変換できる。
※sの有理関数:sの多項式の比となっているということ。
$$f(t)$$ | $$F(s)$$ |
$$1$$ | $$\frac{1}{s}$$ |
$$t$$ | $$\frac{1}{s^2}$$ |
$$e^{-at}$$ | $$\frac{1}{s +a }$$ |
$$\sin \omega t$$ | $$\frac{\omega}{s^2 + \omega^2}$$ |
$$\cos \omega t $$ | $$\frac{s}{s^2 + \omega^2}$$ |
制御工学におけるラプラス変換、ラプラス逆変換でもっともよく表れるのが、以下の指数関数の形式である。これは覚えておくと良い。
$$\mathcal{L}^{-1}\left\{\frac{1}{s+a}\right\}=e^{-at}$$
※物理現象を数式モデルで表すとき最も多く表れる形は、指数関数である。(さらに、これはオイラーの公式を使うことにより、正弦波関数も含んでいることになる。)
部分分数展開による逆ラプラス変換の方法
未定係数法
1.未定係数を設定し分解して、分母をはらって係数を比較
2.未定係数を設定し分解して、分母をはらって数値を代入
留数計算による方法
留数計算による方法は、その数学的内容(留数定理)が少し高度であるが、機械的に部分分数展開したときの分子係数が求まるため、良く用いられる。
以上のように、ラプラス変換された関数 F(s)(sの有理関数) を部分分数展開することで、ラプラス変換対表を使用して、複素積分を実行することなく逆ラプラス変換を行うことができる。
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