3. 逆Z変換

\(F(z)\)から\(f(kT)\)を求めることを逆Z変換といい、$$f(kT) = \mathcal{Z^{-1}}\{F(z)\}$$と表記する。例えば、Z変換法での結果を使い、$$\mathcal{Z^{-1}} \left\{\frac{z}{z- e^{-aT}}\right\} = e^{akT}$$ となる。
※逆Z変換で求まるのは、\(f(kT)\)であり\(f(t)\)ではない。つまり、サンプリング点における時系列信号が求まるだけである。

逆Z変換の方法

1)数列に展開する方法
Z変換の定義式、$$F(z)=\sum_{k=0}^\infty f(kT)z^{-k}$$ から、与えられた\(F(z)\)を\(z^{-k}\)に展開できれば、その係数が\(f(kT)\)になることがわかる。
【例】$$F(z)=\frac{z}{z^2 -3z + 2}=\frac{z^{-1}}{1- 3z^{-1} +2z^{-2}}$$のとき、分子を分母で割ると$$F(z)=z^{-1} + 3z^{-2} + 7z^{-3} + 15z^{-4} + \cdots $$が得られる。
従って、\(F(z)\)を逆Z変換すると、\(f(kT) = \{ 0 , 1, 3 , 7, 15, \cdots\}\)である。

2)部分分数に展開して基本関数のZ変換表を用いる方法
この方法は連続時間系で逆ラプラス変換で用いる方法と同様である。\(F(z)\)を部分分数展開して、基本関数のz変換を用いて逆Z変換する。
【例】$$F(z)=\frac{z}{z^2 -3z + 2}=\frac{z^{-1}}{1- 3z^{-1} +2z^{-2}}$$を部分分数展開する。$$F(z)=\frac{z}{z^2 -3z + 2}=
\frac{z}{(z-1)(z-2)}=\frac{z}{z-2} - \frac{z}{z-1}$$よって、$$\mathcal{Z^{-1}} \left\{F(z)\right\} = \mathcal{Z^{-1}} \left\{ \frac{z}{z-2} \right\} - \mathcal{Z^{-1}} \left\{ \frac{z}{z-1} \right\} $$ $$= 2^{k} -1 =\{0 , 1, 3 , 7, 15, \cdots \} $$となる。
※部分分数展開するとき展開後の分子に\(z\)が乗る形にしないと基本関数のz変換が使えない。従って、\(\frac{F(z)}{z}\)を部分分数展開して、その結果に\(z\)を掛ければよい。