14. 電圧源と電流源
電源には電圧源と電流源の考え方があり、回路の仕様に応じて使い分ける。
電圧源の中でよく使われる定電圧源は、一定の電圧を維持し、回路に対して電圧を供給する。つまり、定電圧源の出力は一定電圧であり、電流は回路の抵抗に応じて変化する。定電圧源は、回路の負荷が変化しても出力電圧を一定に保つ働きをする。
定電流源は、一定の電流を維持し、回路に対して一定電流を供給する。つまり、定電流源の出力は一定電流であり、電圧は回路の抵抗に応じて変化する。定電流源は、回路の負荷が変化しても出力電流を一定に保つ働きをする。
定電圧源、定電流源の実用上の注意点
定電圧源では、負荷が開放になっても出力電圧を維持できるが、定電流源は負荷が開放になると、電流を一定に保とうとするので、解放端の電圧が過大に高くなる。また、電圧源では、負荷を短絡すると出力電圧を維持するように過大な電流が流れる。電流源では負荷を短絡しても一定電流を維持する。
つまり、定電圧源の出力端は短絡してはいけない、また、定電流源の出力端は開放にしてはいけない。
電源の正規な製品では、保護機能が働くので故障することはまれであるが、短絡、開放のような特殊な状態には注意するべきである。
電圧源
電源は内部抵抗を含んでおり、電圧源の等価回路は図「電圧源」の端子\(a,b\)の左側のように表される。\(E_0\)が起電力、\(r\)が内部抵抗である。端子\(a,b\)間に負荷抵抗\(R\)が接続されると電源および負荷に電流\(I\)が流れる。このとき、端子間\(a,b\)の出力電圧\(E\)は、$$E=E_0 - rI$$となる。つまり、出力電圧\(E\)は、起電力\(E_0\)から、内部抵抗\(r\)による電圧降下\(rI\)ほど低下することになる。負荷抵抗\(R\)が接続されていないとき、すなわち開放電圧は、電流が流れないので内部抵抗による電圧降下が\(0\; V\)で、\(E=E_0\)となる。また、端子\(a,b\)を短絡したときの電流、短絡電流\(I\)は、$$I=\frac{E_0}{r}$$となる。
通常、電圧源の内部の電圧降下を小さくするために内部抵抗\(r\)は、小さい方が良い(理想的には\(r=0\))。しかし、\(r=0\)とすると短絡電流は、\(I \rightarrow \infty\)となってしまう。
電流源
電流源の等価回路は図「電流源」の端子\(a,b\)の左側のように表される。電圧源と等価とするため、電流源の供給電流\(I_s\)を$$I_s = \frac{E_0}{r}$$とする。
端子\(a,b\)に負荷を接続すると、電流\(I\)は、$$I = I_s - I_r = I_s - \frac{E}{r} \\ = \frac{E_0}{r} - \frac{E}{r} = \frac{E_0 -E}{r}$$となる。この式は、$$E = E_0 - rI$$と書けるので、電圧源に負荷を接続したときの式と同じである。ちなみに、\(I=0\)のときの出力電圧は\(E_0\)、\(a,b\)間を短絡したときの短絡電流は\(I_s=\frac{E_0}{r}\)となる。
よって、この電流源の等価回路は、電圧源の等価回路と同じであり、相互に変換可能であることがわかる。