18. フーリエ級数(微分方程式)

スツルム・リューヴィルの境界値問題フーリエ級数は、直交関数系による展開という点で密接に関連している。スツルム・リューヴィル型の微分方程式は式(1)の一般形で表される。$$\left(\frac{d}{dt}p(t) + q(t) + \lambda w(t)\right) x(t) =0 \;\;\; \cdots (1)$$この境界値問題で最も簡単な場合は、\(p(t)=1,\; q(t)=0,\;w(t)=1\)の場合である。また、境界点は、\(a=0,\;b=\pi\)、境界条件を\(x(a)=0,\; x(b)=0\)とすると式(1)は、$$x''(t) + \lambda x(t)=0,\;\;\;x(0)=x(\pi)=0$$となる。これより、この微分方程式の特性方程式は\(r^2 + \lambda = 0\)で、解は\(r = \pm j\sqrt{\lambda}\)である。​一般解は、$$x(t)= A\cos(\sqrt{\lambda}​ t) + B \sin(\sqrt{\lambda} ​t)$$で、境界条件\(x(0)=0\)より、\(A=0\)、また、\(x(\pi) = 0\)より、\(x(\pi)= B \sin(\sqrt{\lambda} \pi​)=0\)となり、\(B \neq 0\)なので、\(\sin(\sqrt{\lambda} \pi) = 0\)を満たすのは、$$\sqrt{\lambda} \pi = n \pi \;\;\;(n=1,2,3,\cdots)$$なので、固有値$$\lambda = n^2 \;\;\;(n=1,2,3, \cdots)$$となる。また、それに属する固有関数は、$$x_n(t)=\sin(n t)$$である。
直交条件は、$$\int_0^\pi \sin(mt) \sin(nt)dt = \frac{1}{2} \int_0^\pi [\cos((m-n)t) - \cos((m+n)t)]dt = \frac{\pi}{2}\delta_{mn}$$となるので、規格化された固有関数は、$$\hat{x}_n(t) = \sqrt{\frac{2}{\pi}}\sin(n t)$$である。完全性により、\(g(0) = g(\pi) = 0\)であるような連続関数\(g(t)\)に対して、$$g(t) = \sum_{n=1}^\infty b_n \sin(n t), \;\;\;\; b_n = \frac{2}{\pi}\int_0^\pi g(t) \sin(n t) dt \;\;\; \cdots (2)$$の展開が成立する。この右辺をフーリエ正弦級数という。
境界条件が\(x'(0) = x'(\pi) = 0\)ならば、一般解は、上記と同様で$$x(t)= A\cos(\sqrt{\lambda}​ t) + B \sin(\sqrt{\lambda} ​t)$$なので、境界条件\(x'(0)=0\)より、$$x'(0) = -A \sqrt{\lambda} \sin(0) + B\sqrt{\lambda}\cos(0) = B\sqrt{\lambda} = 0$$なので、\(B=0\)となり、解は$$x(t) = A\cos(\sqrt{\lambda}​ t)$$となる。境界条件\(x'(\pi)=0\)より、$$x'(\pi) = -A\sqrt{\lambda}\sin(\sqrt{\lambda} \pi)=0$$となる。ここで、\(A \neq 0\)なので、\(\sin(\sqrt{\lambda} \pi) =0 \)を満たすのは、$$\sqrt{\lambda} \pi = n \pi \;\;\;(n=0,1,2,\cdots)$$なので、固有値$$\lambda = n^2 \;\;\;(n=0,1,2, \cdots)$$となる。また、それに属する固有関数は、$$x_n(t)=\cos(n t) \;\;\;(n=0,1,2, \cdots)$$である。完全性は、式(3)のフーリエ余弦級数で与えられる。$$g(t) = a_0 + \sum_{n=1}^\infty a_n \cos(n t) \;\;\; \cdots (3)$$ここに、$$a_0 = \frac{1}{\pi}\int_0^\pi g(t) dt \\a_n =\frac{2}{\pi} \int_0^\pi g(t)\cos (n t) dt \;\;\;(n=1,2,\cdots)$$である。

フーリエ変換

フーリエ級数からフーリエ変換への拡張は、周期関数を対象としたフーリエ級数の概念を、非周期関数にまで適用可能にするという発想に基づいている。
フーリエ級数は、周期関数 \(f(t)\)を三角関数の無限和として表現する方法である。上述のフーリエ正弦級数、フーリエ余弦級数をまとめると、$$f(t) = \sum_{n=-\infty}^\infty c_n e^{j n \omega_0 t}$$と表せる。ここで\(\omega_0 = \frac{2\pi}{T}\)は基本周波数である。これは、周期 \(T\)の関数に対してのみ適用可能で、係数\(c_n\) は周波数 \(n \omega_0\) に対応する。
非周期関数に対してフーリエ級数を適用するために、次のような考える。
周期の増加:周期 \(T \to \infty\)と仮定すると、関数は非周期関数に近づく。このとき、基本周波数 \(\omega_0 = \frac{2\pi}{T}\)は無限小になり、離散的だった周波数\(n \omega_0\)が連続的な周波数\(\xi\)になる。
係数の置き換え:フーリエ級数の係数 \(c_n\)を、連続的な周波数成分\(F(\xi)\)に置き換えると、次の形のフーリエ変換公式が得られる。$$F(\xi) = \int_{-\infty}^\infty f(t) e^{-j 2\pi \xi t}dt$$ここで\(F(\xi)\)は周波数成分を表す。
元の関数の復元:\(F(\xi)\)を用いて元の関数\(f(t)\)を復元する逆フーリエ変換は次の式で与えられる。$$f(t) = \int_{-\infty}^\infty F(\xi) e^{j 2\pi \xi t} d\xi$$
フーリエ級数は、信号や振動の周期的な特性を解析するのに適する。
フーリエ変換は、非周期信号(例:衝撃信号や音波)を周波数成分に分解するのに使用される。
フーリエ級数フーリエ変換、についてはこれらも参考にしてください。