9. 真木大堂(国東半島)
国東半島は、大分県の北東部に位置する場所で、多くの寺社や仏像、石仏が密集している。特に「六郷満山」と呼ばれる独特の仏教文化圏が形成されており、これは日本でも珍しい宗教的な景観となっている。この寺社密集地帯は、奈良時代に半島の6つの郷に建てられた28の寺院群が中心となっており、宇佐神宮(八幡宮の総本社)の神仏習合思想によるものといわれている。平安時代には天台宗・真言宗などの密教が国東半島に伝わり、石仏文化が開花し、険しい岩山や奇岩を活かし、岩壁に石仏を刻んだり、磨崖仏が数多く作られた。熊野磨崖仏はその象徴で、日本最大級の石仏群が今も残っている。この磨崖仏も一見の価値がある。
瀬戸内海の海路を考えると、国東半島は京都や奈良に意外と近い。また、地理的に北九州にも近く、中国や朝鮮半島からの文化・宗教・技術が流れ込み、国東半島の文化形成に大きな影響を与えたようだ。
寺社仏閣を参拝するのが好き?なもので、国東半島にはしばしば足を運んでいる。宇佐神宮に子宝祈願のお参りした際は、その数日後に娘から孫の誕生の報告を受けたこともあった。
今回は、両子寺を中心に寺院を訪問することにした。その途中の案内板で「真木大堂」を知った。なんとなく行ってみると良いような気がして、カーナビで調べて目的地を変更した。その日は、偶然にも旧暦の1月29日で真木大堂大祭が開催されており、拝観料は無料で、更に日頃はガラス越しでしか拝観できない仏像をすぐ傍で拝観できた。案内の方もいて詳細を説明してくれた。当然、撮影は禁止だが、サイトに写真が公開されている。
中央に木造阿弥陀如来坐像と木造四天王立像が安置されており、左右に木造不動明王立像と木造大威徳明王像が安置されている。不動明王は、木彫不動としては日本一の大きさとも言われているらしい。また、大威徳明王像は、足が6本ある珍しい像であった。言葉で伝えるのは難しいので、まずはサイトを見て欲しい。すぐ傍で見た仏像はサイトの写真よりさらに素晴らしいものであった。
拝観後には、旧本堂でお接待を受けた。般若湯を勧められたが自動車なのでと断り、地元の御婆さん達が作られた各種の漬物を頂いた。これがとても美味しかった。特に蓮根の味噌漬けは買って帰りたいと思うほどであった。5,6人の地元の老人たちは漬物をつまみに静かに般若湯を酌み交わしていた。