1. 電気とは
電荷とは
電荷とは、物質に備わった電気的な属性であり、正の電荷と負の電荷の2種類がある。電荷は、原子の構成要素である陽子と電子によってもたらされる。
陽子は、原子核に存在する正の電荷を持つ粒子であり、一般的には電荷が+1である。電子は、原子の周りを回る負の電荷を持つ粒子であり、一般的には電荷が-1である。原子全体としては、陽子と電子の数が等しいため、正の電荷と負の電荷が釣り合っており、中性を示す。
物質は、原子と呼ばれる微小な粒子から構成されている。原子は、中心に陽子と中性子からなる原子核があり、周りを電子が回っている構造をしている。
電気は、原子内や原子間で電子が移動することによって生じる現象である。原子が中性の状態では、陽子の正の電荷と電子の負の電荷が釣り合っている(電気的中性)。しかし、原子が外部からの刺激を受けると、電子が原子から離れたり、他の原子に移動したりすることがある。これによって、電荷のバランスが崩れ、正の電荷と負の電荷の間に電位差が生じる。
この電位差が生じた状態を、電荷分離と呼ぶ。電荷分離が生じた物質を、導体と呼ぶ。一方、電荷分離が起こりにくい物質を、絶縁体と呼ぶ。
電気は、導体内の電荷の移動によって生じる。この電荷の移動状態を電流と呼ぶ。電流は、電気を利用する機器によって制御され、電力として利用される。
電荷の性質
電荷は物質に備わった性質の1つであり、正の電荷と負の電荷の2種類が存在する。同じ種類の電荷は反発し、異なる種類の電荷は吸引する。
この現象はクーロン力として知られており、正の電荷と負の電荷の間には、互いに引き合う力が働く。この吸引力は、電荷間の距離が近づくにつれて強くなる。同じ種類の電荷同士は、互いに反発し、離れる力が働く。この反発力も、電荷間の距離が近づくにつれて強くなる。
・電子(負電荷)の電荷量は、\(-1.602176634 \times 10^{-19}\; C (クーロン)\)と非常に小さい。電流で\(1\; A\)は、\(1\; C/s\)なので、1秒間に約\(6.25\times 10^{18}\)個の電子が移動することになる。
電位、電圧とは
電圧
2点間の電位の差
$$V_{AB}= V_A - V_B$$
\(V_A\):電位A
\(V_B\):電位B
\(V_{AB}\):A-B間の電圧
(B点を基準としたA点の電圧)
電位とは、電荷の位置における電気的ポテンシャルのことを指す。ある点における電位とは、その点に置かれた電荷が周囲の電場によって受ける力に対して、どの程度のエネルギーを持っているかを表している。
電位は、電気的ポテンシャルの単位で表される。国際単位系(SI)では、電位の単位はボルト(\(V\))である。\(1\;V\)は、\(1\;C\)の電荷が、電位差\(1\;V\)の2点間を移動する際に持つエネルギーの量を表す。
電位差は、2点間の電位の差を表す。電位差は、点Aから点Bへ向かう場合、点Aの電位から点Bの電位を引いたものとして計算される。例えば、電池の正極と負極の間には電位差があり、この電位差を利用して電流を流すことができる。電気回路では、電位差が重要であり、通常、電圧という用語を使用する。
なお、電位は、電場と密接に関係しており、電荷の存在によって生じる電場があると、その電場に沿って電位が変化する。電場の強さが大きいほど、電位の変化も大きくなる。
金属の電気的モデルと電流
金属の電気的モデル
価電子を奪われた原子核の正電荷のイオンが規則正しく(固定されて)並んでおり、その周りは原子核の束縛を離れた自由電子(負電荷)で埋め尽くされている。
図「原子の構造モデル」のように電子は原子核の周りを特定の軌道で周っており、電子軌道のうち、一番外側軌道の電子を価電子という。価電子はエネルギーを得て、原子核の束縛から離れることが比較的容易にできる。
原子核の束縛を離れた電子は、物質内を自由に動き回ることが出来る。(自由電子という)
注意:価電子のいなくなった原子核の周辺は+の電気を帯びているように見える。(+イオンという)
固体中の原子核は物質を構成するために互いに結合しているので、物質内を動くことは出来ない。(液体や気体では、原子核によるイオンも移動が可能である。)
電荷が移動することを → 電気が流れるといい →これが 電流として観測される。
※自由電子で物体を考えると以下のように分類できる
導体: 自由電子が非常に多い。 → 電気を良く通す。
半導体: 自由電子がある程度存在する。→ 電気をある程度通す。
絶縁体: 自由電子が非常に少ない。 → 電気をほとんど通さない。